\ ゆっくり見てってね〜 ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ /

【小説】スポットライト(仮) ※執筆中

第8章|広がる世界

電力会社には大きく4つの世界がある。
・電気をつくる、発電
・電気をおくる、送電
・電気をかえる、変電
・電気をくばる、配電

会社を支えるという意味では当然、営業所の受付スタッフや検針のおばちゃん、経理や人事担当、社員寮の管理人さん、どでかい研修センターで働く講師たち、世間と会社をつなげる広報、他にも様々な役割の人たちが、裏方で活躍している。

万歳電力の巨大すぎる研修センターでは、2012年入社の同期600名を対象とする、2週間の基礎研修がおこなわれた。緊張感と若干の楽しさが入り混じるオリエンテーションを皮切りに、社会人としてのマナー、会社の歴史や各部門の業務概要を学んだ。高所恐怖症の人は除いて、厳重な指導のもとで鉄塔や電柱にも登らせてもらった。

万歳電力について、ネットで出てくる上辺の知識しかなく、アルバイト経験もなかった俺には、初めて触れた社会は驚きの連続だった。高校3年間で成長した自分がどこまでやれるのか、期待に胸が膨らんだ。

俺のような工業高校出身では原則配属されない部門、事務部門の同期たちは、基礎研修ですべてのカリキュラムを終えた。その日の夜は、なんだかいつもより騒がしかった。同期600名を余裕で収容できる巨大寮は、そこから段々と静かになっていった。

研修生には等しく
土日祝の休日が与えられていた。

四州・九国・西海地方などの遠方出身者を除けば、ほぼすべての研修生が基礎研修終わりで一度帰省した。俺もその中のひとり。バス・モノレール・LR電鉄を乗り継ぐおよそ2時間の小旅行。巨大寮の門限は19時、わずかな余暇を楽しんだ。

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